原爆写真を追う
東方社カメラマン林重男とヒロシマ・ナガサキ
対応範囲
『原爆写真を追う』は、みずき書林様、図書出版みぎわ様のご依頼で、装丁一式・本文レイアウト・組版・図版制作のトータルデザインをさせていただきました。
装丁――本書の最大の特徴は78年前に撮影されたパノラマ写真です。広島と長崎それぞれの爆心地を撮影したパノラマ写真をカバーに使用するにあたり、カバーにおいても可能な限りパノラマ写真としてご覧いただけるよう、表1、背、表4にかけて全面に展開しました。また、帯下に隠れてしまうことを避けるため、帯にも印刷を施しました。書籍内には複数のパノラマ写真が掲載されていますが、カバー・帯は、より大きくパノラマ写真をパノラマ写真として楽しめるようになっています。表紙には、実際にパノラマ写真となるよう張り合わされた展開図を大きく配置しました。
本文――「洗練されたスタイリッシュなイメージ」とのご依頼をもとに制作しました。レイアウトにあたっては、本書の見どころである写真はできるだけ大きく配置しつつ、テキスト部分が図版周辺に複雑に入り込まないよう、写真部分とテキスト部分にメリハリがつくよう心がけました。
また、解説注は、写真と本文を当該ページのみで理解ができるよう、各ページ末に配置しました。
本文フォントは文游明朝体勇壮かなを使用しました。クラシカルでありがなら線が太く読みやすい勇壮かなを用いることで、品格と可読性、そしてインパクトの大きい写真に負けない力強さを本文に持たせました。
パノラマ写真――本書の最大の特徴であるパノラマ写真は、本書にも詳しい撮影の状況が記載されていますが、原則として高さと角度を固定の上、カメラを水平移動して、画角に被りを作りながら一枚一枚撮影していきます。したがって、一枚のパノラマ写真は複数枚の写真(データ)によって構成されています。これをパノラマ写真とするには、表紙に使用した展開図のように、角度などを調整しながら張り合わせていくことになります。しかし、その場合はどうしてもつなぎ目が発生してしまいます。
この度の復刊にあたっては、張り合わせる過程で最新の合成技術を用い、つなぎ目のないより自然なパノラマ写真として再現いたしました。78年前の原爆被害を受けた風景により没入していただけると思います。
装丁素材
カバー・帯:リ・シマメ(シルキーホワイト、四六判Y目130kg)、4C+6合金+マットニス
表紙:NTラシャ(白、四六判Y目100kg)、K
見返し:タント(X-52、四六判Y目130kg)
別丁扉:ハンマートーンGA(うす鼠、四六判Y目100kg)、DIC-495
スピン:27
花切れ:27エンジ
本文フォント
漢字・かな:文游明朝体 勇壮かな StdN R
約物・記号:A-OTF リュウミンPr6N L-KL
半角欧文数字:Garamond Premier Pro Regular